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WORK

2025.12.01

“主役を惹きたてる背景”~ココにこだわる~and,so様スタイリングボード編

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    ANDCOCOで働くスタッフの頭の中を覗きつつ、スタッフ目線での仕事へのこだわりや、企画やクリエイティブを創造する創り手の想いをご紹介する本シリーズ。

    第4弾は、番外編として背景用の撮影ボードを手がける and,so(アンドソウ) さんを取材しました。

    撮影における背景は、世界観や空間演出をつくる大切な要素。and,so さんの撮影ボードが生み出す独特のニュアンスは、フードスタイリストやカメラマンからも高く評価されています。当社の撮影現場でも、表現の幅を広げてくれるクリエイティブアイテムとして利用させていただいていいます。

    今回は、その撮影ボードを手がける大浦さんに、背景づくりへの想いをうかがいました。

    ※本記事は動画でもご視聴いただけます。ぜひご覧ください。

    “やりたい”と口にしたことが転機

    最初はパートで介護福祉士をやっていて、訪問介護をしていました。子どもが大好きで3人産んだのですが、仕事と保育園の往復で、いつも時給のことばかり考えている私がいたんです。子どもが大好きなのに時間がない、「こんな毎日でいいのだろうか」と思っていました。

    やりたいことを我慢していることに気づき、(雑貨屋さんを営むママ友に)自分も雑貨屋さんをやりたいと口にしたことが転機となりました。ママ友が働いていたのが、今も材料として使わせていただいているタカラ塗料という塗料屋さんでした。そのママさんがいい方で、私が独立をしたいと話すと、「私が勤めているペンキ屋の社長に声をかけるから」と言ってくれたんです。

    それがきっかけで、私はペンとメモ帳を持ってタカラ塗料の社長室に行きました。

    ニュアンスとの出会い

    塗料屋さんで「このペンキを売りたいから自由に試して」と言われたのが始まりでした。最初はただ綺麗に塗っていましたが、だんだん面白くなくなってきました。

    そんな時、塗料屋さんがDIYで流行っていたコンクリートや錆を表現するペンキを作ったので、「これを使ってみて、ブログに書いて」と頼まれました。それをやっていくうちに、ニュアンスを作る楽しさを知るんです。

    ニュアンス作りを楽しんでいたら、偶然ペンキ屋さんにカメラマンさんがやってきました。
    その方が探していたのは、綺麗な背景ではなくて、海外みたいなかっこいい、もやっとした背景でした。

    プロのカメラマンさんも求めているんだ!」という発見があり、さらにInstagramが流行りだしていたので、「お料理を撮る人なら欲しい人がいるよ、やってみて」と言われ、塗料屋さんの中にフォトデザインボード部門ができました。

    自分の持っているものを惜しみなく会社のために出すと、会社も喜んでくれるし、私のブログを見たお客様がペンキを買いに来てくれる。“主婦の私にもできるんだ!”と自信がつきました。

    ありがたいことに、独立する時も会社は、「背景ボードはやってはいけない」ではなく、「いいよ、やってみな」と背中を押していただきました。今でもタカラ塗料で材料を買わせていただいています。

    「and,soブランド」と「真心」

    独立する際に考えたのは「どういう存在でありたいか」で、7つのことを大事にしようと決めました。

    ・聡明に
    ・寄り添って
    ・想像して 
    ・創造して
    ・塗装をして
    ・装って
    ・送り届ける

    これを大事にしていこうと。

    そして「アンド(&)」一緒にお客様に寄り“添う”と決めました。
    もう一つ「&」は何々“と”と読めるので”so”と掛けて、塗装というちょっとしたお笑い要素も入れています。

    ご注文いただいて「ありがたい!って」まず叫びます(笑)。数あるショップの中からたどり着いていただきありがとうございます。それから、メールの返信に必ず「真心こめて制作させていただきます」と入れます。

    それを入れた理由は、独立して軌道に乗り、どんどん注文が来て忙しくなった時、仕事が作業になってしまった時期があったんです。気持ちがこもらずクレームが来るようになってしまいました。その時に「あかんわ!」と深く落ち込み、この仕事は流れ作業のようにやったらだめだと反省しました。

    それ以来、必ず受注の際は「真心込めて制作させていただきます」と入れてから取り掛かるようにしています。

    梱包の際も、箱には手書きで「いつも丁寧に届けてくださりありがとうございます」を書き続けようと決めています。最初から最後まで真心が大切なんです!

    制作へのこだわり

    いかに、「塗った」と分からないようにすることです。
    壁の一部を切り取ってきたようなリアル感の追求と、繊細さ。細かさ。

    そして、背景が主張しないものであること。舞台袖から「いっといで」「わたしが後ろにいるから」という感じ。

    背景はあくまでも主役をがっちり支える「助演女優賞」なんです。

    《and,soさんが手掛ける撮影ボードの一例。主役は同じでも背景で世界観が変わります》

    「大浦さんの塗り方を習いたい」という声がきっかけです。最初から背景を塗っているわけじゃなくて、額縁を塗ったり、その額縁もご自身の作品の備品で塗りたい方々がいて。

    Instagram のおかげですよね。インスタが流行っているから備品だけじゃなく塗り方を教えて欲しいというのがスタートです。

    ワークショップ参加者からは、「背景でこんなにも変わるんですね」という言葉をたくさんいただきます。自分のケーキやパンは普段皆さん見てらっしゃるけど、背景に置いてカメラ覗いたら「違う!」って。このことがたまらないのです。

    今後に向けて

    ここに相談に来てくださる方たちの話を聞くと、世間の常識として「白背景で明るく撮らないと売れない」といった謎の枠に自分をはめようとして、苦しんでいる人が多いんです。

    背景のお仕事を広げることよりも、そういう人たち一人ひとりに「絶対大丈夫」だと伝えることのほうが、私の好きなことだと分かりました。

    私自身、普通にパートの主婦で、子育てをしていて何もないところから踏み出せました。だからこそ、自分をもっと羽ばたかせたい人に「私にもできたから絶対できますよ」と、次にバトンを渡したいんです。

    背景が後方から支えるように、私もここに来る人を応援していきたいです。

    取材を終えて

    大浦さんの背景づくりには、「主役を引き立てたい」という優しい気持ちがあふれていました。
    一歩踏み出した経験を持つ大浦さんだからこそ、「自分にもできるんだ」とそっと背中を押してくれる存在です。

    大浦さんが手掛ける撮影ボードとその想いは、わたしたちの撮影現場においてもクリエイティブの表現の幅を広げる後押ししていただいています。

    この度は取材にご協力いただき、ありがとうございました!

    and,soさんの背景ボードのショップはこちらからご覧ください。

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