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WORK

2025.09.22

レシピ動画を撮るにはどのカメラがいい?比べてみた!

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    映像制作の現場ではここ数年、撮影スタイルや表現方法の選択肢が大きく広がっています。シネマチックな色彩、浅い被写界深度による印象的な画づくり、自然光を生かしたナチュラルな演出など、求められる映像の「正解」はひとつではなくなりました。

    今回は「レシピ動画を撮るならどのカメラがいいの?」をテーマに、3つのミラーレスカメラで撮り比べてみました。色の再現力やシズル感、オートフォーカス性能などのそれぞれの特徴を、映像クリエイターの視点から分析。現場での使い勝手も交えてご紹介します。

    3つの検証機材

    Panasonic LUMIX DC-GH7(2024年7月発売)

    4/3センサーと今回比較するカメラの中で最も小さいセンサーを搭載。それでもフルサイズ機種にせまる諧調で撮影が可能。本モデルより、位相差AFや被写体認識に対応して機動力がアップ。

    FUJIFILM X-H2s(2022年7月発売)

    富士フィルムならではのカラーサイエンスで、撮って出しの絵作りに定評がある。読み出しの速い積層型センサーを搭載し、動画と写真を一緒に撮ってほしいというニーズに応えるハイブリッドカメラ。

    SONY ILME-FX3(2021年3月発売)

    発売から4年以上経過しても映像クリエイターに絶大な人気を誇る。シネマライクな画作りにも定評があり、小型軽量で高性能なフルフレームシネマカメラ。

    レンズ解像性能比較

    まずはそれぞれのレンズ性能を確かめるために静止画で比較。Panasonicは「Leica」、FUJIFILMは「RED BADGE」、SONYは「G MASTER」などの冠背負ったをF2.8通しの高性能・高品質ズームレンズを使用しました。

    いずれもレンズもかなり寄れる印象です。

    この中ではPanasonic GH7が最も寄れてコントラストが高くクッキリ見えますが、等倍では滲みがみられました。等倍比較ではH2sが最もシャープな描写です。

    SONY FX3は静止画が1210万画素ということで、このテストでは分が悪くなりますがシャドウ部分の諧調が広く、センサーサイズが大きい分ボケ量も豊かでやわらかい印象。

    広角最短撮影距離のレンズ解像性能という点では、FUJIFILM XF16-55mmF2.8 R LM WR IIが勝っているように感じました。

    色の比較(標準プロファイル)

    まずは、メーカーそれぞれの色の特徴を確認するため、

    ①標準プロファイル(撮影データそのまま)
    ②上記を簡易的にカラーコレクション

    で比較。

    撮影は、4K10bit422、三脚固定、ホワイトバランス5200、シャッタースピード100、絞りF4、それぞれ適正露出内でISOも合わせました。編集はDaVinci Resolve Studioにて。カラーコレクションは、ホワイトバランス・明度・コントラスト・彩度といった簡易的な全体調整のみおこないました。

    カメラ側のホワイトバランスを合わせたものの、①の撮って出しではPanasonic GH7が寒色寄り、FUJIFILM H2sとSONY FX3は暖色寄りの傾向。露出もばらつきがありました。

    ②のカラーコレクション後では、フルーツタルトの赤やピンクに大きな差が。

    苺に目を向けると、GH7とH2sはややマゼンダ寄りで青が入りやや沈んだ色に。一方FX3は朱色っぽく黄色みが強く出ますが、全体が黄色になるわけではなく赤だけに影響。逆にピンクグレープフルーツは、GH7とH2sのほうが鮮やかなピンク色で表現できていました。

    後半のビーフシチューでもカラーコレクション後はGH7とH2sとは似た傾向。FX3はシャドウやハイライトに余裕があり、フルサイズの恩恵を感じました。ただし、陰影が弱めでややフラット。このままではビーフシチューがカレーに見えなくもない。締まりのある映像にするには、中間からシャドウ部分のメリハリを持たせる必要があります。

    もちろん編集でそれぞれの差はほぼ解消できますが、今回の結果でみられたSONYの赤がマゼンダではなくオレンジ寄りに出る傾向は「なるほど」と納得。肌の色などもSONYで撮った映像はマゼンダよりオレンジっぽく出ることもあり、これがSONYのカラーサイエンスの特徴といえます。

    Log収録の比較は失敗!?

    今回、Log収録からの傾向もみるために各社のLog形式でも撮影。V-Log、F-Log2C、S-Log3とダイナミックレンジを優先した設定で撮影しましたが、FUJIFILM H2sのF-Log2Cで料理の艶が消えるという現象が発生!!!

    考えられる原因は2つ。

    1つ目は、NDフィルター。FUJIFILM H2sのF-Log2は最低ISO感度が1250(F-Logは640)にもなるため通常のシャッタースピードではNDフィルターが必須。使用したNisi TRUE COLOR ND VARIOは光の反射を抑えるPLフィルターの効果はないもののフィルターが影響した可能性があります(この検証ではH2sのみに使用)。

    2つ目は、14+stopという広いダイナミックレンジのせい。F-Log2はハイライト側にアドバンテージがあり、白とびしにくいという特徴があります。そのため、艶となるハイライトが白く表現されず、メリハリのない絵になった可能性があります。

    後者が原因という場合は、艶感のでにくいF-Log2は料理撮影には不向きとなります。前者にしても1250という高いISOとなるとNDフィルターを使うケースが多くなるため、標準プロファイル(フィルムシミュレーション)や通常のF-Log収録がよさそうです。

    編集で多少の艶感を入れることは可能

    一方、GH7のV-LogとFX3のS-Log3は、標準プロファイルからカラコレしたものとほぼ同じ色味を再現可能。加えてダイナミックレンジや色域が広い分、編集の自由度が増し、より好きな色にカラーグレーディングすることが可能です。

    オートフォーカス性能比較

    Instagramのリールなどショート動画で、箸上げや動きのある撮影をする際は、今やオートフォーカスが欠かせません。以前はマニュアルフォーカスで撮影していましたが、カメラ性能の向上により被写体を自動で追尾する「トラッキング機能」を使うことも増えています。ここでは、その追従性能を比較しました。

    少し意外(?)な結果で、もっとも安定していたのはH2s。被写体を捉え続け、動きのある料理撮影への強みを感じました。FX3は後ろのマッシュルームに枠が移ったりと成功率はギリギリ。GH7は今回の検証ではうまく追従できませんでした。
    ただし、各社ともファームアップで性能が改善する可能性もあり、シーンや被写体の種類によっても結果は変わってきます。シーンに応じて、撮影前にテストしておくことをおすすめします。

    今回のまとめ

    総合的に見ると、安定感と表現力の両立ではやはりSONY FX3が一歩リード。豊かなダイナミックレンジとフルサイズならではの描写力で、レシピ動画からプロモーション映像まで幅広いシーンで安心して使えるカメラです。

    一方で、FUJIFILM H2sはフィルムライクな撮って出しの発色の良さが強み。写真と動画を同時に撮りたい現場や、動きのあるショート動画には特に向いています。

    Panasonic GH7は、システム全体のコンパクトさに加え、79時間連続RECを完走する信頼性を備えています。さらに、ProResRAW収録や32bitフロート音声収録に対応しており、FX3の半額程度でシステムが構築できます。

    今回のLog収録テストでは課題もありましたが、10bit 4:2:2でも十分な階調・色調が得られるため、スタジオライティングで「おいしそうな料理」を表現するなら必ずしもLogで収録する必要ありません。撮影現場で仕上がりのイメージがしやすい点や編集の負荷を考慮すると、むしろ標準プロファイル+カラーコレクションがおすすめです。

    ANDCOCOでは、シーンやご予算、演出意図に応じて最適なカメラを選択して、料理ショート動画からプロモーション動画まで柔軟に対応しています。業務用ビデオカメラやアクションカメラも保有し、外部カメラマンとの協力体制も整えていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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